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第10回 賃貸経営のコツ。入居者とはビジネスライクに

 家主と入居者はどのような人間関係が望ましいのでしょうか?お互い仲良く信頼関係を築き上げ、家主は常に入居者が快適に暮らせるよう住環境を整え、困ったことがあれば何でも相談に乗る。そして入居者は、毎月遅れることなく賃料を支払い、自分の部屋はもちろんのこと、廊下や共用部分を常にきれいに清掃をして、また近隣の住民と協調性をもち、トラブルはいっさいおこさない。そして大家さんは少々のことには目を瞑り、日ごろ仲の良い入居者の事情を最優先する。こんなところが大家さんと入居者の理想的な人間関係で、こんなふうに良い関係が築ければそれに越したことはありません。まさに、古典落語での長屋の大家さんと八つぁん・熊つぁんの世界でゆったりとした時間の流れを感じほのぼのしい限りです。

 しかし、今の世の中そうウマクいくものではありません。今は家主にしても入居者にしても一番重視することは経済的状況です。八つぁんの住んでいた長屋の大家さんのように常に顔をあわせて「家賃は盆暮勘定で」などという訳にはいきません。そんなことをしていたのでは返済も滞ってしまいます。

 こんな話がありました。私のところへ困って管理の依頼をされてきた家主さん、入居者といい人間関係をつくりたいと、毎月家賃は振込みでお願いし、共益費を自分で集金していました。入居者とはその都度いろいろな話ができ、「いいものだなあ」と思っていました。でも話の中でどうしても同じアパートに住んでいる人の話題が出てきます。大家としては同じ屋根の下に暮らす人同士、仲良くしてもらわねばとついつい他人のプライバシーを…これが命取り。入居者からの苦情が殺到、共益費は二重取りだと言って払ってくれなくなりました。    

 そして困り果て、私のところに相談に見えたのです。実は「入居者にとって干渉されることが一番煩わしいこと」なのです。そもそも賃料を払う者、受取る者では立場があまりにも違いすぎます。入居者とは賃貸経営と割り切ってビジネスライクに接していくほうが賃貸経営は円滑になるのです。入居者にとっては大家さんが常に顔を出すのは、生活を覗かれているようでいやなものです。

 私共管理会社は家主と入居者の間に入ってお互いの言い分を聞き、トラブルを解決し、そんなビジネスライクな関係を保っていくことこそが使命なのです。

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